「避妊に失敗した」
「少しだけ避妊していない時間があったけど大丈夫かな……」
「性被害にあった」
この記事を読んでいる方の中には上記のようにお悩みの方もいるのではないでしょうか?
アフターピルは2種類あり、それぞれ推奨されている服用時間が性交後72時間以内、120時間以内と異なるのが特徴です。
この記事では、アフターピルは何時間以内に服用する必要があるのかについて詳しく解説します。また、アフターピルの値段や副作用についても紹介していますので、服用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
アフターピルは何時間以内の服用が必要?その効果は?
国内で取り扱われているアフターピルには、ノルレボ錠(レボノルゲストレル錠)とエラワン(エラ)の2種類あり、それぞれ性交後の服用時間のタイムリミットや成分、特徴に違いがあります。
商品名 | ノルレボ錠、レボノルゲストレル錠、マドンナ | エラワン、エラなど |
服用時間 | 性交後72時間以内の服用を推奨 | 性交後120時間以内に服用することで効果が期待できるとされている |
主成分名 | レボノルゲストレル | ウリプリスタール酢酸エステル |
※マドンナは、ノルレボの後発品です。
※エラワン(エラ)は、国内未承認薬ですが、アメリカ食品医薬品局・米国FDAでは承認済みです。
それぞれ詳しく解説します。
ノルレボ錠(レボノルゲストレル錠)の場合は72時間以内に服用
ノルレボ錠(レボノルゲストレル錠)は、避妊に失敗したまたは避妊をしなかった性交後、72時間以内に服用することが推奨されています。
その理由は、72時間以内に服用することである程度の妊娠阻止率が期待できるためです。以下は、緊急避妊法として一般的におこなわれてきたヤッペ法(中容量ピルを72時間以内とその12時間後に2回服用する方法)とレボノルゲストレル(LNG)を服用した時間ごとの妊娠阻止率の推移です。
出典:緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成 28 年度改訂版)日本産科婦人科学会 編
レボノルゲストレルは72時間以内の服用が推奨されていますが、避妊に失敗したもしくは避妊をしなかった性交後、24時間以内に服用することで約95%の妊娠阻止率があります。
一方で、72時間経過後の服用に全く意味がないわけではありません。
WHOによる大規模無作為化比較対照試験の結果によると、72時間を超えてレボノルゲストレルを使用することは、用法・用量の適用外であるものの、有効である可能性が高いと言われています。
参考:緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年改訂版)|日本産科婦人科学会 編
エラワン(エラ)の場合は120時間以内に服用
ウリプリスタール酢酸エステルを主成分とするエラワン(エラ)に関しては、性交後120時間以内に服用することで妊娠阻止の効果があるとされています。
海外の臨床試験では、性交から72時間未満の服用ではレボノルゲストレルに等しい避妊効果、72時間〜120時間までの服用ではレボノルゲストレルより優れた効果があるという結果が示されています。
参考:緊急避妊薬としてのウリプリスタル酢酸塩とレボノルゲストレルの比較:ランダム化非劣性試験とメタアナリシス(日本訳)
アフターピルの副作用
アフターピルの副作用には以下の症状があります。
薬の種類 | 副作用 |
ノルレボ(レボノルゲストレル) | 消退出血、不正出血、頭痛、悪心、倦怠感、傾眠 |
エラワン(エラ) | 消退出血、不正出血、吐き気、頭痛、胸の痛み、経血量の増加または減少、生理不順、疲労感、下腹部痛、めまい |
副作用の頻度として最も多いのが消退出血です。避妊が成功しているケースにおいては、ほとんどの場合で消退出血が起こります。
また、頻度はそこまで高くありませんが、悪心にも注意が必要です。特に嘔吐を伴う場合には、アフターピルが体内に十分に吸収されていない可能性があります。その場合は、処方を受けた医療機関へ速やかに相談するようにしましょう。
アフターピルの値段
アフターピルは自由診療となるため、クリニックによって価格に差があります。当院で取り扱っているアフターピルの値段は以下の通りです。
レボノルゲストレル(ノルレボ) | エラワン(エラ) | |
診察料 | 0円 | 0円 |
値段 | 8,800円(税込) | 13,750円(税込) |
服用時間 | 性交後72時間以内 | 性交後120時間以内 |
アフターピルの値段の相場は、種類、ジェネリック医薬品かどうかなどによっても異なりますが、8,000〜15,000円程で設定されているクリニックが多い傾向にあります。
アフターピルに関するよくある5つの質問
ここでは、アフターピルに関するよくある5つの質問を紹介します。
- アフターピルはマツキヨなどのドラッグストアで購入は可能?
- アフターピルは不妊につながる?
- アフターピルを72時間以降に服用しても意味はない?
- 産婦人科でアフターピルだけもらうことは可能?
- アフターピルは男性でも買うことは可能?
それぞれ詳しく回答していきます。
質問1.アフターピルはマツキヨなどのドラッグストアで購入は可能?
アフターピルをドラッグストアで購入することはできません。その理由は、アフターピルの購入には処方箋が必要となるためです(2023年7月現在)。
調剤薬局が併設されたドラッグストアでは購入が可能(※一部店舗のみ)ですが、いずれにおいても処方箋が必要です。
今後アフターピルを取り巻く環境は変化していくことが予測されますが、2023年7月時点ではドラッグストアでの購入はできないため注意してください。
質問2.アフターピルは不妊につながる?
アフターピルの服用が不妊につながることはありません。緊急避妊薬の成分は、数日以内に体内から消失するため、その後の妊孕性に影響することはないのです。
将来の妊孕性に影響するのではと不安に思い服用を躊躇している方もいるかも知れませんが、不妊の原因となることはないため、現時点における緊急性を優先させることをおすすめします。
質問3.アフターピルを72時間以降に服用しても意味はない?
性交後72時間経過後にアフターピルを服用しても全く意味がないわけではありません。
ただし、72時間以内に服用した場合と比較して妊娠阻止率は低下します。
「緊急避妊法の適正使用に関する指針」によると、レボノルゲストレルを72時間以内に服用した場合の妊娠阻止率が84%であるのに対し、72時間以降に服用した場合では63%まで低下していることが分かっています。
アフターピルの服用を検討されている方は、できる限り72時間以内に服用するようにしましょう。
質問4.産婦人科でアフターピルだけもらうことは可能?
産婦人科でアフターピルだけもらうことはできません。アフターピルをもらうには、医師の診察を受けて処方箋を発行してもらう必要があるためです。
現在はオンライン診療で診察からアフターピルの処方までが可能なクリニックも増えてきています。産婦人科の受診に抵抗がある方は、オンライン診療も視野に入れるとよいでしょう。
質問5.アフターピルは男性でも買うことは可能?
アフターピルを男性が購入することはできません。アフターピルをもらうには医師の診察を受け、処方箋を発行してもらう必要があるためです。アフターピルを服用する女性が医師の診察を受けなければなりませんが、診察への同伴は可能です。
ただ、産婦人科は女性特有の診療科であるため、男性の同伴が嫌がられるケースもあります。そのため、診察に同伴したい場合にはオンライン診療を活用することをおすすめします。
アフターピルは服用時間が重要!早めに医療機関を受診しよう
妊娠を望んでいないタイミングで、避妊に失敗したまたは避妊をしなかった場合、早急に緊急避妊法が必要といえます。
なかでもアフターピルは、緊急避妊法の中で最も体の負担が少なく、高い効果が期待できるのが特徴です。産婦人科に出向いてアフターピルの処方をしてもらうのは抵抗があるといった方は、オンライン診療といった方法もあるため選択肢の1つとして検討してみてください。
また、避妊に失敗したまたは避妊をしなかった性交後72時間経過して焦っている方もいるのではないでしょうか?この記事でも紹介したエラワン(エラ)であれば、120時間以内の服用で妊娠阻止の効果が得られるとされています。
当院では、レボノルゲストレル、エラワンのアフターピルを取り扱っております。また、オンライン診療にも対応しておりますので、ぜひご活用ください。
参考サイト・文献
・EPCファクトチェック|#緊急避妊薬を薬局で 緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト
・緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年改訂版)|日本産科婦人科学会 編
・緊急避妊薬としてのウリプリスタル酢酸塩とレボノルゲストレルの比較:ランダム化非劣性試験とメタアナリシス(日本訳)
・緊急避妊薬としてレボノルゲストレル (LNG) 1.5mg を単回使用した後の膣出血(日本訳)
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