毎年12月〜3月の冬季はインフルエンザが流行する傾向にあります。
インフルエンザは風邪と比べても感染力が高く、重症化しやすいため、インフルエンザの感染予防のためにもインフルエンザワクチン接種を検討している方も多いでしょう。
しかし、「インフルエンザワクチンはどんな効果があるの?」「インフルエンザワクチンの接種は大人と子どもでは違うの?」とインフルエンザワクチンに関して不安やお悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
本記事では、インフルエンザワクチンの効果や持続期間、また接種後の注意点などについて徹底解説します。インフルエンザワクチンについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
インフルエンザワクチンの2つの効果
インフルエンザワクチンを接種するにあたり、インフルエンザワクチンの具体的な効果について気になる方も多いでしょう。
インフルエンザワクチンを接種して得られる効果は以下の2つです。
- インフルエンザの重症化を予防する
- インフルエンザの発病を予防する
ここからは、それぞれの効果について解説します。
効果①インフルエンザの重症化を予防する
インフルエンザワクチンの最も大きな効果は「インフルエンザの重症化を予防すること」です。
厚生労働省でも記載されているように、国内の研究によると65歳以上の高齢者福祉施設に入試している高齢者には34〜55%の発病阻止と82%の死亡阻止の効果があったと報告されています。(平成11年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院))」
また、ほかにも子どもでもインフルエンザワクチンによる重症化防止の効果が得られると記載されており、2022年の調査では「インフルエンザワクチン接種により子どものインフルエンザ重症化のリスクが75%減少した」と報告されています。
子どもは大人と比べても免疫力が低く、重症化のリスクが高いため、インフルエンザワクチンの接種が推奨されています。
効果②インフルエンザの発病を予防する
インフルエンザワクチンは「インフルエンザの発病の予防」にも効果が期待できます。
2015年に6歳未満の小児を対象とする研究では、インフルエンザワクチンの発病予防率は60%と報告されています。
インフルエンザワクチンの有効率60%というのは、ワクチンを接種せずにインフルエンザを発病したうちの60%はワクチンを接種すれば発病を防げたということです。
また、65歳以上の高齢福祉施設に入所する高齢者も34〜55%が発病を予防できたとの研究結果も出ています。
そのため、重症化予防だけでなく感染予防にも効果が期待できるといえるでしょう。
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インフルエンザワクチンの副反応
インフルエンザワクチンでは、人により副反応が現れる場合があります。
厚生労働省で記載されているインフルエンザワクチンの副反応は以下のとおりです。
- 接種した部位の発赤・腫脹・疼痛
- 発熱
- 頭痛
- 悪寒
- 倦怠感
接種した部位の発赤・腫脹・疼痛は通常2〜3日で治まり、全身性の反応の場合も2〜3日程度で収まるため、あまり心配はありません。
しかし、稀に重い副反応が現れる恐れがあります。
- ギランバレー症候群
- 急性脳症
- 急性散在性脳脊髄炎
- けいれん
- 肝機能障害
- 喘息発作
- 紫斑など
特にアナフィラキシーは、インフルエンザワクチンの予防接種に対する強いアレルギー反応です。
中でも血圧低下を伴う重度な副反応は、インフルエンザワクチンの予防接種後15分以内に副半のが起こることが多いため、接種後30分程度は安静する必要があります。
インフルエンザワクチンの持続期間
インフルエンザワクチンは、接種後2週間から5ヶ月程度効果が持続することが一般的です。
インフルエンザワクチンを接種した後は、1〜2週間程度で抗体が作られます。抗体はワクチンを打ってから1ヶ月で最高値となり、3〜4ヶ月以降になると徐々に減少していきます。
インフルエンザワクチンを打つべき時期
インフルエンザワクチンを打つ時期としては10月頃が望ましいです。
インフルエンザは通常11月頃から感染者が増え始め、感染者がピークになるのは1〜2月頃です。
そのため、1〜2月に抗体の量をピークにできるようにするには、11月下旬から12月中に接種を完了しているといいでしょう。
インフルエンザワクチンの接種回数と間隔
インフルエンザワクチンでできる抗体を得るには、大人は1回の接種、13歳未満は2回の接種が推奨されています。
また、接種間隔は、2〜4週間の間隔を開ければ接種可能ですが、4週間程度の感覚を設けたほうがより高い免疫力の獲得が期待できます。
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インフルエンザワクチンの接種に関する大人と子供の違い
インフルエンザワクチンを接種する際は、大人と子どもで2つの違いがあります。
お子様がいる方はとくに、大人と同じインフルエンザワクチンを接種しても大丈夫なの?と不安の方もいるでしょう。
ここからは、インフルエンザワクチン接種に関する大人と子供の違いについて解説します。
大人と子供の違い①接種回数
インフルエンザワクチンの接種回数は、13以上の場合は1回の接種で問題ありません。
しかし、生後6ヶ月以上12歳まで(13歳未満)は2回に分けて接種する必要があります。子どもはインフルエンザワクチン1回の接種で、十分な免疫ができないからです。
また、WHO(世界保健機関)でも生後6ヶ月〜8歳までが初めて接種を受ける場合は2回接種、翌年からは毎年1回の接種を推奨しています。
子どもが接種するインフルエンザワクチンの量は以下のとおりです。
- 生後6ヶ月〜3歳未満:0.25mlを2回
- 3歳〜13歳未満:0.5mlを2回
13歳以上の方は、0.5mlのインフルエンザワクチンを1回接種するだけで効果が期待できます。
大人と子供の違い②接種間隔
大人と子供のインフルエンザワクチンは接種間隔が異なります。
13歳以上であれば1〜4週間の間隔での接種が可能ですが、13歳未満の方は1回目と2回目で間隔を開ける必要があります。1回目から2回目の接種間隔は2〜4週間程度です。
2週間以上の間隔を設けると2回目の接種が可能ですが、4週間の間隔を設けることが推奨されています。
そのため、インフルエンザが流行する前にインフルエンザワクチンを接種する際は、4週間の間隔を目安に接種するようにしましょう。
インフルエンザワクチンの持続期間は大人も子どもも変わらない
インフルエンザワクチンの効果が持続する期間は、接種後から2週間から5ヶ月程度と厚生労働省の公式ホームページに記載されています。
13歳未満のお子様の場合は、2回目接種後から2週間から5ヶ月程度で持続期間は大人ろあまり変わりません。
また、新型インフルエンザワクチンの場合でも、2週間から5ヶ月の持続期間であるといわれています。
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グラフから見る2023年〜2024年のインフルエンザの流行状況
厚生労働省が発表した全国のインフルエンザ定点医療機関からの報告数によると、2023年〜2024年のインフルエンザの流行状況は以下のグラフのとおりです。
画像引用:ウェザーニュース「ワクチン「積極的な接種を強く推奨」、今年のインフルエンザの特徴と注意点」より
上記のグラフを見ると、2023〜2024年の患者数が2022〜2023年の同時期と比べても450倍も増えていることがわかります。
厚生労働省ではインフルエンザの流行目安である「流行注意報基準」を10.0と定めていますが、2023〜2024年では9月の時点で全国平均が11.07と基準を超えていると発表しています。
そのため、2023〜2024年はインフルエンザが流行しているといえるでしょう。
インフルエンザワクチン接種後の注意点
インフルエンザワクチンを接種した後は、気をつけておかないといけないことが4つあります。
インフルエンザワクチンを接種した後に気をつけるポイントは以下のとおりです。
- 接種した場所を触らない
- 接種後1時間は入浴しない
- 過度な飲酒を避ける
- 運動を控える
ここからは、それぞれの注意点について解説します。
注意点①接種した場所を触らない
インフルエンザワクチンを接種した後は、接種した部位に腫れや赤み、かゆみが現れます。
しかし、接種した部位は触らないように気をつけましょう。
接種した場所を触ったり、揉んだりすると、インフルエンザワクチンが急速に吸収され、局所反応やアナフィラキシーを発症するリスクが高くなります。
さらに、予防接種をした後に腕を揉んでしまうと皮下出血を起こす恐れがあります。
とくに、子どもは注射した部位が気になり触ってしまうことがあるため、目を離さないことが大切です。
万が一、赤みやかゆみ、腫れなどの症状が出た場合は、医療機関に相談しましょう。
注意点②接種後1時間は入浴しない
インフルエンザワクチンを接種した後は、1時間は入浴を避けるようにしましょう。
インフルエンザワクチンを接種してから1時間はアレルギー反応が起こる恐れがあるため、1時間以内の入浴は危険です。
しかし、1時間を経過すれば入浴しても特に問題はありません。
万が一、インフルエンザワクチンの接種により症状やつらい症状がある場合は入浴は避けて、医療機関に相談しましょう。
注意点③過度な飲酒を避ける
インフルエンザワクチンの接種前、接種後は特に飲酒は禁止されていません。
しかし、過度な飲酒により体調を崩す恐れがあるため、前日はお酒を控えることが大切です。
また、接種後も禁止はされていませんが、副反応のリスクを抑えるためにも極力飲酒を避けるとよりよいでしょう。
注意点④運動を控える
インフルエンザワクチンの接種後は副反応が起こる可能性があるため、激しい運動は控えましょう。
インフルエンザワクチンは通常接種後24時間以内に副反応が現れることが多く、症状は時間の経過とともに治まります。
そのため、副反応が起こりやすい24時間以内は安静に過ごすことが望ましいです。
ワクチン接種後に激しい運動をすると、副反応が起こりやすくなったり、副反応が長引いてしまったり、体調が悪くなる恐れがあります。
しかし、運動は一切してはいけないというわけではなく、日常的な生活にはとくに制限はありません。万が一、気になる症状が現れた際は、医療機関に相談しましょう。
インフルエンザワクチンの効果と持続期間に関するよくある質問
インフルエンザワクチンの効果や持続期間についてまだまだ知りたいことがあるという方もいるでしょう。
そこで、インフルエンザワクチンの効果や持続期間に関するよくある質問についてまとめました。
ここからは、それぞれの質問について解説します。
質問①インフルエンザワクチンの発症予防率は何パーセント?
厚生労働省のホームページでは、「インフルエンザワクチンの発症防止に対するワクチン有効率は60%」と記載されています。
・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)
・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)
→ ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=(1-0.4)×100=60%引用:厚生労働省
上記の例のように、インフルエンザワクチンを接種しなかった人の発症率を基準にすると、ワクチン接種した人の発症率は60%減少していることになります。
つまり、ワクチン接種をせずにインフルエンザを発症した方のうち60%は、ワクチン接種していたら予防できたということです。
質問②インフルエンザワクチンの効果はいつから実感できる?
インフルエンザワクチンの効果は、接種後から2週間程度で効果が現れます。
また、2回目接種の場合でも、予防接種後2週間で効果が期待できます。また、2回目のインフルエンザワクチン接種の場合は、ブースター効果があり、より高い免疫力が得られるでしょう。
質問③インフルエンザワクチンは打つとかかる?
インフルエンザワクチンを打つとインフルエンザにかかるわけではありません。
しかし、インフルエンザワクチンを打ったからといって、必ずインフルエンザの発症を防げるわけではありません。
インフルエンザワクチンは、体内に入り込んだインフルエンザウイルスが細胞に侵入してウイルスを増殖する状態を抑える効果がありますが、完全に感染を防ぐことはできません。
そのため、インフルエンザワクチンの予防接種をしても、インフルエンザに感染することはあることを理解しておきましょう。
質問③2回目のインフルエンザワクチンを接種するベストな期間はいつですか?
2回目のインフルエンザワクチン接種する際のベストな間隔は2〜4週間で、4週間の期間を設けるとさらに高い効果を得られます。
そのため、2回ワクチン接種を打つ際は、10月〜11月に1回目、11月〜12月に2回目のワクチン接種をすると感染のピーク時にも予防効果が発揮できるでしょう。
質問④インフルエンザワクチンはやばいって本当?免疫力が低下する?
インフルエンザワクチンは基本的に打つ回数が多いほど免疫力が強まります。
そのため、インフルエンザワクチンを接種したことが原因で免疫力が低下する心配はありません。
質問⑤妊婦の人はインフルエンザワクチンを接種してもいい?
妊婦の方や妊娠を考えている方、授乳中の方でもインフルエンザワクチンの接種が可能です。
インフルエンザワクチンを接種できない人は以下のとおりです。
- 明らかに発熱している方
- 重篤な急性疾患にかかっている方
- ワクチンの成分に対してアナフィラキシーなど重度の過敏症の経験がある方
- 上記以外で予防接種を受けることは不適当な状態にある方
明らかに発熱している方は、通常37.5度以上を指しますが、37.5度以下でも平均体温からみて発熱していると判断された場合は接種ができません。
また、上記で指す重度な過敏症は、アナフィラキシーや全身性の皮膚・煙幕症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下などです。
上記に当てはまる場合は、インフルエンザワクチンの予防接種ができないため要注意です。
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まとめ
本記事では、インフルエンザワクチンの効果と持続期間について解説しました。
インフルエンザワクチンは、インフルエンザの重症化を予防する効果と発症を予防する効果があります。インフルエンザワクチンから得られる効果の持続期間は2週間から5ヶ月程度です。
インフルエンザは重症化する恐れがあるため、風邪とは異なります。
インフルエンザワクチンを接種すると必ずインフルエンザを防ぐことはできませんが、60%程度の予防効果があるといわれています。
そのため、インフルエンザの発症を防ぐためには、インフルエンザワクチンの接種を検討してみましょう。
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