「食事制限なしでもダイエットできる?」
「運動だけで痩せる方法は?」
この記事を読んでいる方の中には、上記のような疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
ダイエットときくと、まずは食事制限を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実家暮らしや子育て中など、さまざまな事情で食事の調整が難しいケースもあるでしょう。
この記事では、食事制限なしのダイエット方法について解説します。「食事の摂り方・運動・生活習慣」の3つに分けてそれぞれポイントを紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
食事制限なしでダイエットできる?
「ダイエットには厳しい食事制限がつきもの」と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、極端な食事制限はリバウンドだけでなく、健康にも影響を及ぼす恐れがあります。ダイエットは、消費エネルギー量よりも摂取エネルギー量を少なくするのがポイントです。
厚生労働省は、ダイエットについて下記のように述べています。
規則正しい生活を送り、食事ではエネルギー量(カロリー)を計算して、決して無理な状態とならないように調整しつつ、ウォーキングやランニングなど適度な運動を長く続けることが、ダイエットを成功させる秘訣です。 |
食べ方を工夫して適度な運動をおこない、生活習慣を改善することで、食事制限なしでダイエットすることは十分に可能だといえるでしょう。
食事制限なしダイエット|食事のポイント
食事制限なしでもダイエットは可能ですが、痩せるためには食事の摂り方に気をつける必要があります。
食事制限なしダイエットの食事のポイントは以下の通りです。
- こまめに水分補給する
- 野菜を意識的に摂る
- 栄養バランスに気をつける
- 調理法を工夫する
- よく噛んで食べる
- 21時以降に食べない
- 間食の摂り方を見直す
それぞれ詳しく解説していきます。
こまめに水分補給する
ダイエット中は、水分摂取にも気をつける必要があります。脱水を予防するだけでなく、水を飲むことには以下のように多くのメリットがあります。
- 筋肉に血液を送りやすくなり、筋肉量アップにつながる
- 筋肉量が増えると基礎代謝がアップし、痩せやすい体質になる
- 血液をサラサラにする
- 食事と一緒に水分を摂ることで食事量を抑えられる
また、バーミンガム大学の研究者は、食前に水を飲むことで体重減少につながる可能性があると発表しています。肥満の成人参加者84人のうち、毎食30分前に500mlの水を飲んだ41人は12週間後に平均4.3kg体重が減少しました。一方、1回だけあるいはまったく水を飲まなかった人は平均0.8kgしか減りませんでした。
食前に水分を摂ることで、満腹感を得やすくなるためだと考えられています。ただし、食事の直前では消化液が薄められて消化・吸収を妨げてしまうので、30分前までに飲むのがよいでしょう。
野菜を意識的に摂る
野菜はビタミンやミネラル、食物繊維が豊富です。毎日350g(うち緑黄色野菜は120g)を目標に摂取するとよいでしょう。特に旬の野菜にはビタミンが多く含まれているので、できるだけ取り入れていきましょう。
また、野菜の摂取量と体重減少の関係に注目した研究結果があります。詳細は以下の通りです。
- 5年間の野菜摂取量が1日あたり100g増加するごとに体重が25g減少
- 黄・赤色野菜やネギ類野菜では、1日あたり100g増加するごとにそれぞれ74g、129g体重が減少
出典:5年間の野菜・果物摂取量の変化と体重変化との関連|国立がん研究センター
これらのことから、野菜を意識的に摂取することで栄養バランスが整い、さらに体重減少も期待できるといえます。
栄養バランスに気をつける
特定のものだけを食べるような偏ったダイエットは、一時的に体重が減ったとしても栄養が不足する恐れがあるのでおすすめできません。また、ストレスをためてしまう原因ともなり得るでしょう。
食物繊維が不足すると便秘、鉄分が不足すると貧血など、さまざまなリスクが考えられます。主食・主菜・副菜のそろった食事を基本として、栄養バランスに気をつけることが大切です。
主食・主菜・副菜について、以下の表にまとめました。
主食:エネルギーのもと | ごはん、パン、麺類、いも類、油、砂糖など |
主菜:体をつくるもと | 肉、魚、卵、豆、牛乳・乳製品、豆など |
副菜:体の調子を整える | 野菜、果物、きのこ類など |
これらを揃えることでバランスのよい食事につながるので、意識して取り入れましょう。
調理法を工夫する
同じ食材を使った料理でも、その調理法によってエネルギー量は変わってきます。魚料理を例に挙げると、さしみは75kcal、塩焼きは120lcal、ムニエルは190kcal、フライは250kcalです。さしみとフライでは、カロリーが3倍以上も違うことが分かります。
また、選ぶ部位によってもエネルギー量が異なります。豚肉の場合、肩ロース100gが350kcalであるのに対し、ひれ100gは210kcalです。脂身の多い部位ほどエネルギー量が高くなります。
出典:食事バランスガイド(実践・応用編)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
このように、同じ食材でも調理法や選ぶ部位によってエネルギー量は異なります。また、調味料に含まれる塩分などにも注意しましょう。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べるのも、食事を摂るときの重要なポイントです。ゆっくり食べることで、食後のエネルギー消費量が増えるといわれています。これは、東京工業大学の研究によって明らかになりました。
研究の詳細は以下の通りです。
- 300kcalのブロック状の食品をできるだけ急いで食べる試行と、できるだけゆっくり食べる試行をおこなった
- 急いで食べたときは平均103秒で137回の咀嚼、ゆっくり食べたときは497秒で702回の咀嚼だった
- 食後90分間のエネルギー消費量は、急いで食べたときが平均7kcalに対し、ゆっくり食べたときは180kcalだった(体重1kgあたり)
- 消化管の血流もゆっくり食べたほうが有意に高くなった
研究の成果として、以下のように記されています。
体重60kgの人がこの食事を1日3回摂取すると仮定すると、咀嚼の違いによって1年間で食事誘発性体熱産生には約11,000kcalの差が生じる。これは脂肪に換算するとおよそ1.5kgに相当する。
ゆっくり食べると消化・吸収活動が増加することに関連して、エネルギー消費量が高くなったものと推察される。 |
出典:ゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増えることを発見|東京工業大学
また、脳の満腹中枢は、食事を始めてから15~20分ほど経ってから刺激されるといわれています。早食いでは満腹感を得られにくいため、できるだけゆっくりとよく噛んで食べるよう心がけましょう。
21時以降に食べない
21時以降の食事はできれば避けたいところですが、仕事などの関係でどうしても遅い時間になってしまう場合もあるでしょう。遅い時間の食事を避けたほうがよい理由としては、以下の通りです。
- エネルギーが消費されにくく、体脂肪として蓄積されやすい
- 翌朝の朝食が食べられない原因になり得る
夕食が遅くなると寝る時間も遅くなり、生活リズムも乱れやすくなります。夕食の時間が遅くなってしまったときは、できるだけ消化のよいものを食べましょう。
また、昼食と夕食の間が空きすぎるときには、夕方に軽く食べるのがおすすめです。おにぎりや果物、乳製品など、カロリーや脂肪の少ないものを選びましょう。
間食の摂り方を見直す
間食ときくとお菓子のイメージがあるかもしれませんが、食事以外に摂取するものを間食といいます。そのため、ジュースやお酒、果物なども含まれます。
間食は栄養素を補うだけでなく、仕事や勉強などの気分転換の役割もあります。ただし、カロリーを気にせず間食してしまうと肥満につながるので、摂り方に注意しましょう。
ダイエットをする上では、摂取エネルギー量が消費エネルギー量を超えないことが重要です。そのため、間食も含めて1日に摂取するエネルギー量を調整する必要があります。
一般的には、間食は1日に200kcal程度が望ましいとされています。最近はお菓子などにも栄養成分が記載されているので、参考にするとよいでしょう。
食事制限なしダイエット|運動のポイント
ダイエットを食事制限なしで成功させるためには、運動が欠かせません。だからといって、むやみやたらに激しい運動をしても効果は得られないでしょう。
ダイエット中の運動のポイントは、以下の3つです。
- 有酸素運動をする
- 筋トレをする
- 日常の中で工夫する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
有酸素運動をする
食事制限なしで痩せるには、有酸素運動をおこなうとよいでしょう。有酸素運動は脂肪を燃料とするので、中性脂肪や体脂肪の減少が期待できます。具体的には、ウォーキングやランニング、サイクリング、エアロビクス、水泳などです。
運動不足の方や運動が苦手な方は、ウォーキングから始めるのがおすすめです。特に早歩きでは、お尻や太もも、ふくらはぎなどの筋肉の活動が活発になり、効果が高まるといわれています。
また、有酸素運動は20分継続したあたりからエネルギー源が体脂肪に切り替わります。ダイエット目的での有酸素運動は、できるだけ長い時間続けられるものを選ぶとより効果的でしょう。
筋トレをする
食事制限なしダイエットでは、筋トレも重要なポイントだといえます。筋肉量が増えると、基礎代謝量も増えるためです。基礎代謝量とは、生命維持のために必要なエネルギーのことで、基礎代謝量が増えると消費するエネルギー量も増えます。
また、筋トレをおこなうと、脳下垂体から成長ホルモンが分泌されます。この成長ホルモンには、中性脂肪の分解を促す作用があるといわれています。つまり、筋トレそのものが体脂肪を燃焼させるのではなく、筋トレによって体脂肪を燃焼させやすい体をつくるのです。
筋トレをすると運動後に体脂肪が燃えやすくなるので、有酸素運動を組み合わせるとよいでしょう。
日常の中で工夫する
仕事が忙しい方や子育て中の方などは、運動する時間を確保するのも難しいでしょう。そのため、ダイエット中は日常生活でできる工夫を取り入れることが大切です。
歩く機会を増やしたり、できるだけ階段を使ったりすることから始めましょう。また、健康的に痩せるためには、基礎代謝量を上げるのがポイントです。
基礎代謝量を上げるには、以下の3つが基本となります。
- 適度な運動
- バランスのよい食事
- 規則正しい生活
不規則な生活は自律神経の乱れを招き、基礎代謝量の低下にもつながってしまいます。生活習慣を見直して改善することも、ダイエットをする上では重要だといえるでしょう。
食事制限なしダイエット|生活習慣のポイント
食事制限なしで痩せるには、生活習慣にも気をつけなくてはなりません。いくら食事や運動に気を配っても、不規則な生活ではダイエットはうまくいかないでしょう。
生活習慣のポイントは以下の通りです。
- 良質な睡眠をとる
- 湯船につかる
- 寝る前にストレッチをする
それぞれ解説していきます。
良質な睡眠をとる
睡眠不足は体重が増える要因の一つと考えられています。筑波大学の研究グループは、レム睡眠の減少がショ糖や脂質などの肥満につながる食べ物の過剰摂取を引き起こす原因を明らかにしました。研究の詳細は以下の通りです。
- レム睡眠が不足したマウスではショ糖、脂質ともに摂取量が増加した
- 人為的に前頭前皮質の神経活動を抑制したマウスは、レム睡眠が不足してもショ糖の摂取量は増加しなかった
- レム睡眠の減少は代謝やエネルギーバランスに悪影響を与え、体重増加につながる可能性がある
また、睡眠不足はレプチンという食欲を抑制するホルモンを減少させ、グレリンという食欲を増進させるホルモンを増加させます。深夜につい食べたくなってしまうのは、これらのホルモンの働きであると考えられています。
睡眠時間を十分に確保するのが難しい場合には、睡眠の質を高めることが重要です。起床時間を一定にする、寝る前にスマホを使わないなど、すぐできる対策を取り入れましょう。
湯船につかる
入浴には、さまざまな健康効果があるといわれています。具体的には以下の表の通りです。
作用 | 効果 |
温熱作用 | 疲労回復、快眠、リラックスなど |
静水圧作用 | むくみ解消、疲労回復など |
浮力作用 | リラックス効果、腰痛の緩和など |
粘性・抵抗性作用 | 生活習慣の改善など |
清浄作用 | 肌の健康の保持など |
湯船につかると血行がよくなり、基礎代謝が上がります。ダイエット中には意識的に湯船につかるとよいでしょう。
副交感神経を優位にするには、湯の温度は40℃くらいが適温です。熱すぎると体に負担がかかったりのぼせたりしてしまうため、ぬるま湯にゆっくりとつかりましょう。
寝る前にストレッチをする
ストレッチには、リラクゼーション効果があります。全身の筋肉を伸ばすストレッチによって前頭葉のα波が増加し、副交感神経優位に変化させることが分かっています。
また、下半身の筋肉には血流を促進させる役割があるので、下半身のストレッチをおこなうことで代謝アップも期待できるでしょう。
ストレッチをする際の注意点としては、以下の通りです。
- 呼吸を止めない
- 反動をつけない
- 無理をしない
呼吸を止めると体が緊張してしまうので、ストレッチ中は自然な呼吸を心がけましょう。筋肉を伸ばす際には勢いをつけたり反動をつけたりせず、少しずつ伸ばしていきます。
また、無理をすると筋肉を痛めてしまう恐れがあるので、「気持ちいい」と感じる範囲でおこなうのが重要です。
効率よく痩せるならメディカルダイエットもおすすめ
「やっぱり食事制限なしだと思うように効果が出ない……」という方は、メディカルダイエットを試してみるのも一つの方法です。
メディカルダイエットとは医療機関でおこなうダイエットのことで、医薬品や医療機器を使う「医療行為」です。脂肪吸引や脂肪溶解注射、GLP-1など、さまざまな施術メニューがあります。
当院では、糖尿病治療薬であるメトホルミンで痩せやすい体をつくっていきます。メトホルミンは、「痩せホルモン」と呼ばれるGLP-1の分泌を促進するのが特徴です。
GLP-1には以下のような作用があり、これらがダイエットに効果的であると考えられています。
- インスリンの分泌を促進させる
- 食欲を抑制する
- 食べ物の胃からの排出を遅らせる
また、海外の臨床試験では、メトホルミンを服用した被験者が6カ月で平均5.8kg減量したという報告があります。
なかなかダイエットの成果が出ないときは、メディカルダイエットも検討してみるとよいでしょう。当院では医師のオンライン診療が受けられますので、お気軽にご相談ください。
食事制限なしダイエットは生活習慣の改善がカギ
食事制限なしでもダイエットは可能ですが、そのためにはいくつかのポイントがあります。大切なのは食べ方と適度な運動、そして生活習慣の改善です。食事制限をしなくても、栄養バランスに注意して調理法や間食の摂り方を工夫し、よく噛んで食べることで減量が期待できます。
運動をおこなう際には有酸素運動と筋トレを組み合わせることで、よりダイエット効果を発揮します。ただし、運動する時間がない方や運動が苦手な方も諦めず、日常生活の中でできる工夫はたくさんあります。まずは、普段より多く歩くことや階段を使うことを意識するだけでも効果的です。
また、ダイエットをする上では、生活習慣の見直し・改善も欠かせません。良質な睡眠をとる、湯船につかる、寝る前にストレッチをするなど、すぐにできることから実践していきましょう。
今回ご紹介した方法で思うように効果が出ないという方は、メディカルダイエットを検討してみてもよいでしょう。当院では、安心サポート付きでいつでもお気軽にご相談いただけます。ぜひご活用ください。
参考サイト・文献
・ダイエット|e-ヘルスネット(厚生労働省)
・水分補給!!健康に、ダイエットに!|東京福祉専門学校
・A bottle of water before each meal could help in weight reduction, researchers say|University of Birmingham
・食事前に水を2杯飲むだけで体重を減らせる 体重が4kg以上減少|糖尿病ネットワーク
・ビタミンと食物繊維|農林水産省
・5年間の野菜・果物摂取量の変化と体重変化との関連|国立がん研究センター
・食事バランスガイド早分かり|農林水産省
・食事バランスガイド(実践・応用編)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
・ゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増えることを発見|東京工業大学
・夜遅く食事をとるときは|農林水産省
・間食のエネルギー(カロリー)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
・エアロビクス / 有酸素性運動|e-ヘルスネット(厚生労働省)
・減量に筋力トレーニングが必要な理由|横浜市スポーツ医科学センター
・寝不足はダイエットの敵 睡眠時間が足りないと甘いものがほしくなる理由|筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構
・睡眠と生活習慣病との深い関係|e-ヘルスネット(厚生労働省)
・お風呂の健康効果とおすすめの入浴法|大阪市水道局
・ストレッチングの効果|e-ヘルスネット(厚生労働省)
・糖尿病治療薬「メトホルミン」の多面的な作用が分かってきた 【第63回日本糖尿病学会】|糖尿病ネットワーク・GLP-1の多様な作用|糖尿病サイト
・Effectiveness of metformin on weight loss in non-diabetic individuals with obesity|National Library of Medicine
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