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GLP-1とは?ダイエット効果や副作用、使用時の注意点を簡単に解説

「GLP-1ってなんだろう?」「GLP-1ダイエットに興味があるけど、本当に痩せられるのかな……」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

GLP-1は、もともとわたしたちの体に存在するホルモンの1つで、別名「痩せホルモン」とも呼ばれています。インスリンという言葉は耳にしたことがある方が多いと思いますが、インスリンを分泌させるのがGLP-1なのです。

この記事では、GLP-1のダイエット効果や副作用、使用時の注意点について解説します。また、注射薬と内服薬の一覧や値段の相場も紹介していますので、参考にしてみてください。

GLP-1とは?

GLP-1とはグルカゴン様ペプチド-1のことで、簡単に言うとインスリンの分泌を促すホルモンです。このホルモンはインクレチンと呼ばれ、GLP-1とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の2種類に分けられます。

GLP-1は、血糖値が高いときにだけインスリンを分泌させるのが特徴です。つまり、血糖値が高くないときはあまり働かないため、低血糖のリスクが少ないとされています。

また、GLP-1はインスリンの分泌促進のほか、消化管の運動を抑えたり、食欲を抑えたりする作用もあります。このようにGLP-1は、多くの働きを持っているのです。

GLP-1のダイエット効果

インクレチンというホルモンの1つであるGLP-1は、下記のような働きがあります。

  • インスリンの分泌を促す
  • グルカゴンの分泌を抑える
  • 消化管の運動を抑える
  • 食欲を抑える

インスリンは血糖値を下げる作用、グルカゴンは血糖値を上げる作用があります。これらに働きかけることにより、血糖値をコントロールできるのです。また、消化管の運動を抑えることで、食べたものがゆっくりと消化されます。

GLP-1受容体作動薬を肥満者に20週間以上投与した海外の臨床試験では、下記のような報告があります。

  • 非糖尿病群で体重が3.2kg減少(対照治療と比較)
  • 糖尿病群で体重が2.8kg減少(対照治療と比較)
  • 血圧、総コレステロール、HbA1cも有意に低下

このように、GLP-1は糖尿病の治療薬としてだけでなく、肥満症への適応が期待されています。

GLP-1受容体作動薬とは?

GLP-1受容体作動薬は、多様な働きをするGLP-1に注目して開発されました。GLP-1の代わりに受容体にくっつくことで、GLP-1のようにあらゆる働きをします。

GLP-1は、前述したように血糖値が高いときにだけインスリンを分泌させる特徴があります。低血糖のリスクが少なく、優れた血糖改善効果があるのです。

ここでは、GLP-1受容体作動薬の効果や、日本での販売状況などについてご紹介します。

GLP-1受容体作動薬の効果

主に2型糖尿病の治療薬として使われるGLP-1受容体作動薬は、GLP-1のアミノ酸配列を変えることによって、DPP-4に分解されにくくしています。DPP-4とは、インスリンの分泌を促すホルモンであるインクレチンを分解する酵素です。

インクレチンはDPP-4によって分解されるため、その効果は数分程度しか続かないとされています。これを阻止することで、インクレチンの効果が続くように働きかけるのです。

GLP-1受容体作動薬は、空腹時には働きません。食事をして血糖値が高くなったときに働くので、低血糖を起こしにくいとされています。

GLP-1受容体作動薬を一覧で紹介

GLP-1受容体作動薬には、内服薬と注射薬があります。日本では、2010年にリラグルチド(ビクトーザ)が国内初のGLP-1受容体作動薬として承認されました。

GLP-1受容体作動薬の注射薬と内服薬について、それぞれ一覧で見ていきましょう。

【注射薬】

一般名(商品名) 効能・効果 用法・用量
リラグルチド

(ビクトーザ)

2型糖尿病 1日1回
エキセナチド

(バイエッタ)

2型糖尿病

(ただし、食事療法・運動療法に加えて、スルホニルウレア剤を使用しても十分な効果が得られない場合に限る)

1日2回
リキシセナチド

(リキスミア)

2型糖尿病 1日1回
デュラグルチド

(トルリシティ)

2型糖尿病 週1回
セマグルチド

(オゼンピック)

2型糖尿病 週1回

 

【内服薬】

一般名(商品名) 効能・効果 用法・用量
セマグルチド

(リベルサス)

2型糖尿病 1日1回

このほか、ウゴービという注射薬が2023年3月に厚生労働省に承認されました。肥満症の治療薬として、国内で唯一承認されたGLP-1受容体作動薬です。しかし、2023年9月現在、発売には至っていません。

GLP-1の副作用

GLP-1受容体作動薬は、使い始めに便秘や下痢、悪心や嘔吐などの消化器症状が起こりやすいとされています。これらの副作用は、数日から数週間で自然に軽快することがほとんどです。ただし、症状がひどかったり、長く続いたりする場合には、速やかに医師に相談しましょう。

GLP-1受容体作動薬の消化管の運動を抑える働きや食欲を抑える働きが、副作用にもつながっている可能性があるのではないかと考えられています。

GLP-1の値段の相場

GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療薬として使う場合は保険適用となります。しかし、ダイエット目的では自由診療となり、保険適用外です。そのため、クリニックによって値段は異なります。

ビクトーザとリベルサスの値段の相場は、下記の通りです。

商品名 値段の相場
ビクトーザ

(注射薬:1日1回)

25,000~30,000円前後

(1本)

リベルサス

(内服薬:1日1回)

10,000~15,000円前後

(3mg、30日分)

このほか、クリニックによってはカウンセリング料などがプラスでかかる場合があります。中には分割払いが可能なクリニックもあるので、あらかじめ調べておくとよいでしょう。

GLP-1ダイエットのメリットと注意点

主に糖尿病の治療薬として使われるGLP-1受容体作動薬ですが、その働きから肥満症への効果も期待されています。ダイエット目的では、どのようなメリットや注意点があるのでしょうか。

GLP-1ダイエットのメリット

前述したように、GLP-1には食欲を抑える働きや、消化管の運動を抑える働きがあります。食欲が抑えられると食事量が減り、食べ過ぎを防げます。

また、消化管の運動が抑えられるので胃の運動も遅くなり、少ない食事量で満足感が得られるのです。食事の量をコントロールしやすいので、摂取カロリーも抑えられます。

ダイエットと言えば、きつい食事制限がつきものだと思っている方も少なくないでしょう。しかし、GLP-1ダイエットでは無理な食事制限が不要です。この点は大きなメリットだと言えます。

GLP-1ダイエットの注意点

GLP-1ダイエットにおける体重減少は、主に中枢神経系の食欲を抑える働きによるものだとされています。ただし、薬だけに頼るのではなく、正しい食事と適度な運動を組み合わせることが大切です。

食欲が抑えられることにより、必要な栄養素が不足する恐れもあります。GLP-1ダイエットをおこなう際には、適切な栄養管理を心がける必要があるでしょう。

厚生労働省によると、健康的なダイエットについて下記の記載があります。

  • 特定の食品を抜いたり、極端に食事を減らしたりしない
  • 主食・主菜・副菜の揃った食事を基本にバランスを整える
  • 調理法や菓子・アルコールなどの摂り方を見直す

食習慣や生活習慣を見直しながら、GLP-1受容体作動薬を正しく使用することが重要だと言えるでしょう。

また、GLP-1受容体作動薬の入手方法として、インターネットを通じた個人輸入もありますが、これは推奨できません。品質や安全性の確認がされていない可能性があり、さまざまなリスクが考えられます。必ず医師の指示のもとで使いましょう。

GLP-1に関するよくある質問

ここでは、GLP-1に関するよくある3つの質問をご紹介します。

  • GLP-1とインスリンの違いは?
  • GLP-1でどのくらい痩せられる?
  • GLP-1ダイエットはリバウンドしやすい?

それぞれの質問について、詳しく回答していきます。

GLP-1とインスリンの違いは?

インスリンは、血液中にある糖(ブドウ糖)を減少させる働きのあるホルモンです。膵臓のβ細胞というところでつくられています。

一方GLP-1は、インスリンの分泌を促す働きのあるホルモンです。食事をとることによって小腸からGLP-1が分泌されると、膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促します。

GLP-1でどのくらい痩せられる?

糖尿病ではないBMI30以上の3731人を対象に、リラグルチドを1日1回皮下注射した海外の臨床試験があります。その結果、56週の時点で平均8.4kgの体重減少が認められました。

この研究では、食事と運動の補助としてGLP-1受容体作動薬を使用すると、体重減少が見られると結論づけられています。

GLP-1ダイエットはリバウンドしやすい?

GLP-1ダイエットは正しくおこなえば、体重減少が期待できます。一方で、食生活を気にしなかったり、まったく運動をしていなかったりする場合には、痩せることは難しいでしょう。

薬に頼り過ぎて「食べても大丈夫」などと勘違いをしてしまうと、効果が得られにくいので注意しましょう。

GLP-1は医師の指示のもとで正しく使おう

GLP-1とは、血糖値を下げる働きのあるインスリンを分泌させるホルモンの1つです。GLP-1は、インスリンの分泌を促す働きのほか、消化管の運動を抑えたり、食欲を抑えたりする働きもあります。また、血糖値が高いときにだけインスリンを分泌させる特徴があり、低血糖のリスクが少ないとされています。

このGLP-1の多様な働きに注目して開発されたのが、GLP-1受容体作動薬です。主に2型糖尿病の治療薬として使われていますが、体重を減少させる効果があり、肥満症の治療薬としても期待されています。

2023年1月に、ウゴービという薬が日本国内で初めて肥満症の適応で厚生労働省に承認されました。しかし、発売日などは未定であり、今後の動向が注目されています。

GLP-1ダイエットは、少ない食事量で満足感が得られるなどのメリットがありますが、薬に頼り過ぎないことが大切です。栄養バランスに気をつけ、適度な運動と組み合わせることで、無理のない減量につながります。用法・用量を守り、必ず医師の指示のもとで適切に使いましょう。

参考サイト・文献
糖尿病の新治療|日本臨床内科医会
GLP-1に基づく糖尿病の新しい治療|日本糖尿病学会
GLP-1の多様な作用|糖尿病サイト(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)
GLP-1受容体作動薬|糖尿病サイト(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)
GLP-1 受容体作動薬の体重減少効果|J-stage
GLP-1作動薬の開発進む|日経メディカル
ウゴービ 肥満症治療剤 持続性GLP-1 受容体作動薬|ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
GLP-1受容体作動薬|糖尿病リソースガイド
GLP-1受容体作動薬とは?|知りたい!糖尿病(日本イーライリリー株式会社)
GLP-1受容体作動薬「ウゴービ皮下注」(セマグルチド)が肥満症治療薬として承認 糖尿病合併の肥満でも血糖改善|糖尿病リソースガイド
GLP-1受容体作動薬に関するよくある質問|糖尿病サイト(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)
健康被害などリスクにご注意!海外からの医薬品の個人輸入|政府広報オンライン
体重管理におけるリラグルチド 3.0 mg のランダム化対照試験
健康的なダイエット:適切な体重管理で、健康づくりをしよう!|e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

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